従来、Mn-ZnフェライトはNi-Znフェライトと比較して比抵抗が低く、渦電流の発生により1MHz以上の高周波数帯域での使用には適さなかった。
このため我々はNi-Znフェライトと同様にFe2O3組成が50mol %より少ないFe-poor組成Mn-Znフェライトの検討を行い、TiO2を添加して大気中焼成することにより高周波数帯域において高い初透磁率が得られることを報告した[小林、山田:日本応用磁気学会誌24,715(2000)]。
今回はさらに高い初透磁率を得るためにFe-poor組成Mn-Zn-Tiフェライトを窒素中で焼成した結果を報告する。 所定量の原料を秤量し、アトライターを用いて湿式混合、乾燥して大気中900
℃で仮焼成した後、アトライターで微粉砕した。 そして造粒した後、トロイダルコア形状に成形した。 Fe-poor組成Mn-Zn-Tiフェライトを窒素中で焼成したサンプルA、同じく大気中で焼成したサンプルB、そして一般的なFe-rich組成のMn-ZnフェライトサンプルCの初透磁率:μiの周波数特性をFig.1に示す。
0.1 MHz においてサンプルAのμiは3700であり、サンプルB(μi = 1600)と比べて二倍以上になり、サンプルCに近い値が得られた。
これは窒素中焼成することで酸化による異相の析出量が低減したためである。 一方1MHz以上の高周波数帯域においては、Fe-rich組成のサンプルCはμiが急激に低下するのに対して、サンプルAは10
MHzでμi = 180であり、サンプルBと同様に高いμiを示した。 この理由は、Fe-poor組成のサンプルAは窒素中で焼成してもFe2+の生成が抑制されて、Fe2+量に依存する比抵抗がFe-rich組成のサンプルCと比較して二桁高くなり、1
MHz以上の高周波数帯域において渦電流の発生による損失が少ないためである。 このようにFe-poor組成Mn-Zn-Tiフェライトを窒素中焼成することにより、広い周波数帯域で高い初透磁率が得られた。
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