| YIGなどの磁性ガーネット薄膜を用いた1次元磁性フォトニック結晶は、高い透過率と大きな磁気光学ファラデー回転を設計波長で実現できることから、様々な光磁気デバイスの構成材料として魅力あるものといえる。
とりわけ、1mm以上の光波長を用いる光通信用アイソレータやサーキュレータに磁性フォトニック結晶を利用することで、従来のLPEガーネット膜を用いたものに比べ、小型・軽量化したデバイスが得られるものと考えられる。
これは、光通信波長域でのガーネット材料のファラデー効果が小さいために、LPEガーネット膜を用いた光アイソレータでは、数100mm厚のガーネット膜が必要であるが、磁性フォトニック結晶では数100nm厚のガーネット薄膜を用いたものでも光アイソレーションに要求される45度偏光面回転が得られることによる。
しかしこれまで報告されている1次元磁性フォトニック結晶に関する研究では、光アイソレータに要求される95%以上の透過率と45度偏光面回転を同時に満たすものは得られておらず、いかにしてこれらのスペックを満たす磁性フォトニック結晶を実現するかが重要な研究課題となっている。
また一般に、スパッタ法による磁性ガーネット薄膜形成では700℃程度の高温熱処理が不可欠であるが、誘電体多層膜と共にガーネット膜を積層する1次元磁性フォトニック結晶では、熱処理による多層構造の乱れが問題となっていた。最近井上らは、パルス光熱処理法により、良質のガーネット薄膜を含む磁性フォトニック結晶の形成に成功しているが、この方法では磁性フォトニック結晶として動作する有効面積が小さいために、工業化の観点からは具合が悪かった。
本報では、これらの現状を踏まえ、1次元磁性フォトニック結晶の光通信用アイソレータ・サーキュレータへの応用可能性を理論・実験の両面から調べた結果について報告する。 |
 |