| 近年、電子機器の小型高性能化に伴い信号がますます高周波数化される傾向があり、そのため高周波数領域において安定した磁気特性を持つ材料の必要性が高まっている。
従来、Mn-ZnフェライトはNi-Znフェライトと比較して比抵抗が低く、渦電流の発生により高周波数領域での使用は不向きのため、1MHz以上で使用される高周波用デバイスにはNi-Znフェライトが使われてきた。Mn-Znフェライトは一般的にFe2O3組成が50mol
%を超えるFe-rich組成から成り、還元性雰囲気で焼成冷却するために、スピネル構造中にフェライトの導電性に大きく寄与するFe2+が存在し、これが比抵抗が低い原因とされてきた。
一方、Ni-Znフェライトと同様にFe2O3組成が50mol %より少ないFe-poor組成Mn-Znフェライトの場合、大気中焼成することにより、Fe2+の生成を抑制して比抵抗を向上させ、1MHz以上の高周波領域においても使用できる可能性がある。
しかし以前からFe-poor組成のMn-Znフェライトについての研究も多くされてきたが、大気中焼成により高い磁気特性を得るには、急冷など特殊な製造方法が必要であり、現在実用化されている製品は少ない。
また工業的な見地から、従来のNi-ZnフェライトやFe-rich組成Mn-Znフェライトと比較した報告は少ない。 そこで我々は、大気中焼成により高い比抵抗と磁気特性をもつFe-poor組成Mn-Znフェライトを一般的なフェライト製造法により容易に作製するために、フェライト中のMnとFeイオンの価数を制御することに注目した。
従来Fe-rich組成のMn-Znフェライト中にあるFeイオンの価数制御をするためにTiO2やSnO2を添加した報告は数多くあるが、大気中焼成においてイオンの価数を制御するためにTiO2を適用した報告はほとんどない。
本報では、Fe-poor組成Mn-Znフェライトに価数制御に効果があるTiO2を添加することにより、従来のMn-Znフェライトに対して比抵抗が非常に高く、Ni-Znフェライトに近い高周波特性をもつフェライトが、大気中焼成で容易に作製できたので、その結果について報告する。
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